新研磨パッドNEAT(ニート)
2011.08.16 NEAT表面加工テクノロジー
(このコンテンツは、米900Global社の技術情報ホームページより抜粋・翻訳したものです)
ニック・サイファー
シニアデザインエンジニイア
ボウリングボールにおける表面の仕上げと粗さはボールモーションを決定する上で、非常に重要なキーになっています。これまでの研究データから、ボールの表面を変えてボールの転がり方を変える方法はいくつかあることが分かっています。カバーストックの配合は表面粗度を化学的に変えるのに比べ、サンディング技術や表面調整では機械的に表面粗度に変化を加えることになります。2年間に渡る研究と開発を経て、900グローバルはボール表面の美しさを損なうことなく機械的に表面粗度を上げる新技術“NEAT”にたどり着きました。
“NEAT”とは、新しいナチュラル仕上げ設計の研磨テクノロジー(Natural Engineered Abrasive Technology)で、ボウリングボールに美しい表面と必要な表面凹凸を同時に提供します。下記図1では、“NEAT”の立体拡大写真と従来のサンディングパッドを比較しています。従来の研磨材に比べ、“NEAT”は均一な複数レイヤーの研磨構造になっており、より安定した表面加工を施すことができます。テストとデータ解析では、他社の製品に比べ“NEAT”がより高い研磨率と50%長い製品寿命を提供することがわかりました。
技術的な視点からお話すると、表面粗度を表すRaというパラメータを変えるだけでなく、その他の粗度に関連するパラメータの変化においても最大限になることから、この技術はとてもユニークでこれまでの技術とは違っていることが分かります。表面粗度Raは、USBCボールモーション研究で分析された2つの粗度数値のうちの一つです。(USBC webサイトのEquipment Specificationを参照)

過去の研究では、Raの数値が上がると、ボールモーションの特性にも影響が出ることが分かっています。参考までに、Raとはボウリングボールの表面で顕微鏡レベルの“山”や“谷”の高さ(縦方向)を測り、その平均値を出したものです。この数値は、USBCがボールメーカーに対しカバーストックの素材が50マイクロインチ(Ra)を超えるようなボールの製造を制限する際にも使われています。Raの画像と数式は図2に示されています。

表面粗度Raには、メリットとデメリットがあります。メリットは、表面の粗さを測る上で、Raが最も一般的に使われたパラメータであることです。また、ほとんどの研究室にある機器で計測が可能であることや、統計的に安定しており、繰り返し行うことが可能なことがその理由です。
しかしながら、表面を表すのにRaというたった一つの数値に頼ることは潜在的な危険とデメリットを帯びています。Ra値そのものだけでは、谷(穴)からその山(トゲ)を完全に見分けることができません。例えば、地球の地形を思い浮かべてください。ケース1では、海抜2マイルの先端を持つ山と、その横に海面下2マイルのクレーターがあるとします。ケース2では、高さ2マイルの山が2つ並んでいるとします。ケース3では、深さ2マイルのクレーターが2つ並んでいるとします。

3つのケースで、Ra値は2マイルになりますが、Ra値を見ただけでは、山なのかクレーターなのかの見分けがつきません。図3では、ボウリングボールの表面を顕微鏡で見たものですが、先程の例と同じようなことが示されています。両方の表面は、同じRa値ですが、全く違う断面になっており、片方は“山”がたくさんがあり、もう片方は“谷”がたくさんあります。レーンではこの2つの断面は全く違うボールモーションを作り出します。
混乱を防ぎ、より的確に表面の地形を理解するには、さらに3つの数値を分析しなければなりません。下記にリストされた数値は、ボウリングボールの表面の“山”と“谷”、そしてその“距離”を特定することで、より詳細な分析を提供します。図4ではこれら数値が図表で示されています。
1) Rp – 最も高い山の高さ
2) Rv – 最も低い谷の低さ
3) Ry – 山の最高点さと谷の最低点との距離
Ry = Rp + Rv

ボウリングボールの完全な表面地形とRa/Rp/Rv/Ryのパラメータを使って表面粗度を計測することにより、我々900グローバルはこれらの数値を変更/最大化して前例のないボールモーションとリアクションを生み出す革新的なメソッドを模索し始めました。我々は、1つの数値もしくは複数の数値への変化がどのようにパフォーマンスを高めるのかに焦点をあててみました。結果はとてもシンプルに“NEAT”(整っている)だったのです。
“NEAT”のサンディング工程には、独自に加工された4つのサンディングパッドがあります。これらのパッドは、他社の研磨材に比べ、見た目を損なうことなくボウリングボールの表面にある潜在的な凹凸を最大化し、レーンへの接地面をより粗くします。図5は“NEAT”の各パッドを表しています。

4つの異なる表面は、一連のステップを踏むことで作ることができます。表面“N”は一番目の粗いパッド(黒)を使います。“E”はその次のパッド(青)を使い、“A”はよりなめらかなパッド(緑)を使い、“T”は一番なめらかなパッド(黄)を使います。各表面を再現するためのステップは以下に記載しました。これらは製造工程でどのように各表面が作られるのかを示します。
“N” = 60u 3M Trizact + 50u 3M Trizact + 40u 3M Trizact +30u 3M Trizact + “N” Black
“E” = 60u 3M Trizact + 40u 3M Trizact + 20u 3M Trizact + “E” Blue
“A” = 50u 3M Trizact + 30u 3M Trizact + 20u 3M Trizact +5u 3M Trizact + “A” Green
“T” = 50u 3M Trizact + 30u 3M Trizact + 20u 3M Trizact +5u 3M Trizact + “T” Yellow
** u = micron**
** 60u ~ = 220 grit; 50u ~ = 240 grit; 40u ~ = 280 grit; 30u ~ = 340 grit;
20u ~ = 500 grit; 10u ~ = 1000 grit; 5u ~ = 1500 to 2000 grit **
正しく適用されれば、これらの表面加工でRa/Rp/Rv/Ryの数値を操り、凸凹を増やすことができます。これらの表面仕上げは、データで示されるよりも高品質な見た目を保ちます。下記図6は、“NEAT”仕上げ/アブラロン/ポリッシュを比較したものです。
このデータ分析で、各“NEAT”パッドの新技術によって生まれた表面粗度Raは、見た目よりも粗くなっていることが分かります。例えば、“T”の表面は、見た目はミディアムコンパウンド/ライトポリッシュのように見えますが、コンパウンドやポリッシュが穴を埋めてしまうことが無いので、実際には表面粗度Ra値は4000番アブラロンと同程度になります。“E”の表面では、見た目は2000番アブラロンですが、手にとって見るとその感触は1500番ほどの表面粗度Ra値に感じられ、山の先端から谷底までの距離はさらに大きいものになります。Ryデータにおいても同じような傾向が見られます。RyとRaが変化したことによる相互の影響が、ボールリアクションをより強め、持続させます。

データからわかるもう一つの重要なポイントは、チャートの“STDEV”カラムです。標準偏差(STDEV)は、すべてのデータがどれくらい平均値に近いかを示しています。分かりやすく言うと、ボールの各地点がどれほど均一であるかを示しています。標準偏差が低い場合は、表面の凹凸が均一であることを示します。このデータから“NEAT”の表面仕上げでは、各表面において従来のサンディング方法で作られた表面よりもより均一であることが分かります。図7では上図のデータからわかったことをまとめています。
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NEAT
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特徴
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“T”
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見た目はコンパウンド/ポリッシュ仕上げ; Ra値は4000番アブラロンと同等;山の先端から谷底までの高低差(Ry)は4000番アブラロンよりも大きくなり、摩擦が増す
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“A”
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見た目は4000番アブラロン仕上げ;Ra値は4000番と2000番アブラロンの中間;Ry値は4000番アブラロンよりも大きくなり、摩擦が増す
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“E”
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見た目は2000番;Ra値は2000番よりも高い;Ry値は2000番と1000番アブラロンの中間で、より山が多く摩擦も強まる
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“N”
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見た目は1000番アブラロン仕上げ;Raは1000番アブラロンよりも高い;Ryは1000番アブラロンよりも高く、より山が多く摩擦も強まる
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