ボールのプロダクションデザイン
2008.12.23 ボールのプロダクションデザイン - Ball Production Design
(このコンテンツは、米900Global社の技術情報ホームページより抜粋・翻訳したものです。[06/02/2008 Ball Production Design])
ニック・サイファー
シニアデザインエンジニイア
900グローバルでは、最高のパフォーマンスだけでなく最高の品質を備えた商品を市場に出してゆく努力をしています。プロショップやボウラーの方々に耳を傾け、彼らのニーズに応えるよう商品のデザインに取り組んでいます。会社が1周年を迎え、我々がどのような製造条件のもとにボウリングボールを作っているのかを少しご紹介したいと思います。
ボウリングボールのCG(重心)とは、ボールが上から吊るされた状態で、どの方向ともバランスが取れている点になります。ボウリングボールのメーカーはボールの表面にこの点にロゴなどで印を付けます。しかし、この表面に付けられた印は、ボウリングボールの本来のCGではありません。ボールの真のCGは、シェルの奥深く、ボールの中心近くにあります。図1では、CGとボール中心との実際の距離を表しています。『ブレイク』では、CGはボールの中心からたった0.037インチ離れたところにあります。
デザインエンジニアは、シェル内で上下左右にコアを動かしボールの実際のCG位置を変更することができます。これによりCGマークの位置が変更されます。 繰り返しますが、本来のCGはボールの中心とほぼ変わらない場所にあります。
ピン~CGの距離は、ボールの動きを変える上でボールドリラーにとって最も重要な数値になっています。ピンは、内部コア構造のトップであると同時にボールの最低RG回転軸になっています。このピン~CGマークまでの距離は一般的に“ピン位置”と呼ばれています。ピン位置のバリエーションが、ボウラーにとっての最適なパフォーマンス範囲や様々なタイプのボウラーに対応するドリルレイアウトを提供します。
トップウェイトとは、ピン側とピン反対側との重さを比較した際の不均衡のことです。USBC では、ドリル後のトップウェイトは最高3オンスまでとしています。シェルの中にあるコアの小さなズレは、ピン位置だけでなく、トップウェイトにも影響します。
これらの小さな変化が、トップウェイトとピン位置を大きく変える可能性があります。完璧な世界というのがあるならば、きっとピン位置3インチ&トップウェイト2 3/4オンスと指定すれば100%その通りに製造することができるでしょう。しかし実際には、製造上のブレは多少発生します。そのブレは様々なことが原因となって表れます。CGを完璧な場所に設定するには、コアからシェルにかけて全てのコンポーネントが指定の位置に収まらなければなりません。ボールの製造工程の中で、いくつかの段階において小さなエラーが発生します。それぞれの段階で発生するエラーが重なり合って、CGの位置・トップウェイト・ピン位置を変化させるのです。これは、そのボールが決して“悪いボール”というわけではなく、ただすべてのボールはお互い少しずつ違うというだけのことなのです。
以下の例は、ブレイクのを使い、コアで先に述べた小さな変化がどのように最終商品に影響を与えるのかを示したものです。
ピン位置を3インチ、トップウェイト2 3/4オンスにするために、設計ではブレイクのインナーコアのトップはボールの中心からぴったり3.11インチとし、アウターコアのトップはボールの中心からぴったり3.80インチとしています。下記のCAD図面ではそれらの寸法が確認できます。(図3:ブレイク15ポンド『理想的』な設計寸法)
以下の表では、2つの寸法がほんの少し同じ方向にズレた場合(コアがピン側に近くなってゆく)の結果です。たった1/10 インチほどコアの位置がズレただけで、ピン位置は3/4インチ以上、トップウェイトは3/4オンス以上も変わりました。
|
インナーコアトップ |
アウターコアトップ |
ピン位置 |
トップウェイト |
真のCGとボール中心 |
|
|
3.11 |
3.8 |
3.00 |
2.73 |
0.0368 |
|
|
3.13 |
3.82 |
2.77 |
2.88 |
0.0388 |
|
|
3.15 |
3.84 |
2.61 |
3.03 |
0.0408 |
|
|
3.21 |
3.9 |
2.21 |
3.51 |
0.0472 |
|
| 変化合計(インチ) |
0.1 |
0.1 |
0.79 |
0.78 |
0.0104 |
図からは、コアの微小なズレにより最終的なピン位置とトップウェイトに変化が表れているのが分かります。コアの位置が変わると、その理由に関係なく実際のCGをほんの少し動かしてしまい、最終的に完成するボールに大きな影響を与えるのです。
上記の例では、コアを縦方向だけに動かしました。下記は、コアが縦の軸から1度傾いた場合に起こるピン位置・トップウェイト・CG~ボール中心距離への影響を表にしたものです。
|
コア傾き |
ピン位置 |
トップウェイト |
真のCGとボール中 |
|
|
0 |
2.80 |
2.66 |
0.0357 |
|
|
1/2 |
3.45 |
3.04 |
0.0410 |
|
|
1 |
3.94 |
3.49 |
0.0470 |
|
| 変化合計 |
1 |
1.14 |
0.83 |
0.0113 |
これらのことが示すのは、理想のボールを作るためにブレを最小限にしようとするの製造上の挑戦とエンジニアの努力なのです。エンジニアは、求められる完成品と製造上発生するブレとの間を埋めるべく、数々の分析やデザイン要素を用いて取り組んでいます。このブレを減らすことが、ブランドにかなう高品質な商品を作ることと顧客のニーズを満たすのに重要なキーとなっています。
このように製造プロセスをより深く見ていくことによって、商品の完成結果を解明できると信じています。今後の記事でも、900Globalがどのようにその許容差や数値に関する知識を、今日のボウリング環境に対応した理想の製品を作るうえで利用しているか、皆様に見ていただきたいと考えています。



