どうしてボールはフックしなくなるのか?
2008.12.02 どうしてボールはフックしなくなるのか? - Why ball loose their hook?
(このコンテンツは、米900Global社の技術情報ホームページより抜粋・翻訳したものです。[06/02/2008 Why Balls Loose Their Hook])
ダニー・スペランザ
プロダクトリサーチディレクター
Bowling This Month からの質問:
どうしてリアクティブボール、特にパーティクルカバーのものは、“リアクションが無くなってくる”のか、そして寿命が短いのですか? また、御社では寿命を延ばしたり取り戻したりするのに、どのようなことをすすめていますか?
ダン・スペランザの回答:
先ず、全てのボールは使われる度に曲がりにくくなっていきます。少し前にあったウレタンボールでも同じ現象が起きていたことを思い出しました。
しかし、先ずはリアクティブとパーティクルシェルについて見てみましょう。リアクティブが有効である主な理由は、シェルが油を吸うことにあります。これにより、ボールのドライな部分がもっとレーンに接触するようになります。結果、より多くの摩擦を生み、それがフックへと繋がります。ボールからより多くの摩擦を引き出すのに、レーンに接触する際の油を取り除かなければなりません。これと同じで、よりフレアするボールは、よりフックするのです。あまりフレアしないボールに比べ、フレアするボールではより多くボールのドライな面がレーンに接触します。フレアしないボールでは、オイルのついている面がレーンに接触し、摩擦とフックを減らします。
偶然にも、1991年頃、『リアクティブシェル』が『フレアするコア』とほぼ同時期に市場に出回り始めました。その結果、この2つの要素が新たなボウリング環境を作り、ゲームを大きく変えました。フレアするコアは、毎回ボールのドライな面をレーンのオイル面と接触させることができます。リアクティブシェルは、オイルをシェルに吸収させることができます。毎回ドライな面がオイルに接触し、より大きな表面で素早くオイルを吸収します。この結果、レーンのヘッドエリアが早く乾いてしまい、ボウリング場経営者にもっと多くのオイルを敷かせることになるのです。ボールはより多くのオイルを拾い上げ、素早く吸収するのです。ヘッドエリアのヘビーオイルに対抗するため、よりオイルに強いシェルが開発されるというサイクルが継続されており、毎晩行われるリーグプレイを含めボウリング業界全体でこうしたことが一般的になってきました。
パーティクルボールも、シェルがオイルを吸収するという面ではリアクティブボールと同じです。オイルの上でもフックするので、ボウラーは通常レーン中央のオイルエリアでプレイします。その結果、より早くボールの表面がオイルを拾い上げ、吸収してゆきます。パーティクルボールの中には、実際にオイルの吸収率に影響を与えるものもあります。ですから、我々はパーティクルとリアクティブ樹脂シェルの強化された摩擦を長持ちさせる方法について、重点的にリサーチしました。
もう一つの要素は、ボール表面の粗さです。サンディングされたボールは、表面が粗くなっているのでフックします。この表面のザラザラは比較的短い時間でなくなってしまい、ボールのフックが弱まります。表面のザラザラは、ボールを再びサンディングすることで取り戻すことができますが、投げるたびにまたザラザラはなくなってきます。ポリッシュされたボールは、オイル上をスキッドしてドライバックエンドで急激に曲がります。時が経つと、ポリッシュボールも表面が磨り減り、オイル上で曲がりバックエンドでの曲がりが鈍くなってきます。これは微妙な違いなので、磨り減ったポリッシュボールの動きの違いにボウラーは気づかないかもしれません。
オイル吸収の現象に簡単な対応策はありません。リアクティブやパーティクルのシェルが良い理由は、オイルを吸収するその能力にあります。ボールを使っていくと、オイルが染み込み、序々に摩擦力を失ってゆきます。一番良い方法は、シェルに吸い込まれる前にタオルでふき取ることです。これまで、さまざまな方法でシェルからオイルを抜こうとしてきました: 例えば、石鹸と水で洗ったり、リジュビネーターを使ってボールを熱で温め、オイルを外へ追い出したり、猫のトイレに入れてみたり。これらの方法は私はあまり詳しくはありませんから、これらについて語る資格はありませんが、これらがパフォーマンスに悪影響を与えることはありません。
我々はオイルを吸わずにフックする新しいボールについて研究しました。最初の投球では曲がるのに、オイルが付いた途端に曲がらなくなりました。これは数回投げただけで起こりました。理論上、摩擦というのは2つの表面が互いに作用した結果です。摩擦は2つの表面がどれくらい良くお互いを掴むかを計ったものです。2つの表面の間にあるオイルや潤滑剤は、どちらも摩擦を下げるものです。オイルを吸収せずにリアクティブシェルのようなパフォーマンスをみせるボールを作るには、高い摩擦力の新しいシェルを開発しなければなりません。拾い上げたオイルでその摩擦力を下げることにより、リアクティブやパーティクルのレベルまで摩擦を下げていく必要があります。これは簡単なことではありません。
強くフックするボールほど、大きくフックする力を失うことになります。摩擦の大きいリアクティブとパーティクルボールは、もともと摩擦の少ないボールに比べて、失う摩擦も大きいのです。大きく曲がるボールはおそらくオイルエリアに向けて投げられることが多く、摩擦力を下げる潤滑剤があっても、それに勝る摩擦力を期待されるのです。
曲がりの小さいボールは、オイルの少ないドライエリア向けに使われます。この場合、“レーン/オイル”のコンビネーションは、ボールとの摩擦に貢献する形になります。反対に、大きくフックするボールとオイリーレーンの場合、ボールは曲がるためにより多くの摩擦を提供しなければなりません。この場合、一見曲がりの少ないボールの方が摩擦力があるように見えますが、それはレーンのドライな表面によるものです。これらのボールは時間が経ってもあまり摩擦力が落ちていないように感じますが、実際にはレーンのドライエリアが提供する摩擦が寄与してそのように見えているのです。
思い出してください。“ただでは何も得られない。” 世の中、すべてギブアンドテイクです。摩擦により、ボウリングボールをスポーツとして発展させることができました。ボウラーはみなボールが曲がるのを楽しんでいます。しかし、摩擦力を増やすということは、何かを犠牲にしなければならないのです。この場合は、時間とともに摩擦が失われていくということです。それでも、それを投げることで、豪快にピンデッキ上にピンを飛ばして10ピンを取ることができ、その瞬間はプロボウラーになったような気分に浸れるのです。これこそ“ボウリングドリーム”ではありませんか。
